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Blade Runner 2049

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Blade Runner 2049



混むかな〜と思っていたけど、なんとか公開2日目に視て来ましたよ、Blade Runner 2049!


これこそ、大人が見るSF映画、だな。







1982年制作の『ブレードランナー』の続編。


前作の監督、リドリー・スコットが製作総指揮。


これまで続編が出来なかったのは、第一作の主演であったハリソン・フォードリドリー・スコットの確執だとかって報道があるが、真偽の程はようわからん。



興行成績は、北米は期待したほどではなかったが、日本やそのほかの地域では決して悪い成績ではなかった様子。


ちなみに数字を拾ってみた。


・北米

10月6日に全米公開され、2日間で約37億だったようだけど、予想より下回ったようだ。

製作費約165億円とのことだから、もっと盛り上がらないとモトはとれないよなあ。

そして、71%が男性で、そのうち63%が35歳以上とのこと。


・日本:10月27日から全国公開、公開初日を含めた3日間で動員20万4100人、3.5億円

前作ファンの40代、50代の男性が中心


・世界:10月8日にアジアを除く地域で公開、世界45か国で約55億万円、海外市場においては期待に応える結果




俺は50代男性で、しかも前作の世界観に共感しての視聴だから、思いっきりマーケティングの通りに踊らされているじゃん!


2時間以上の大作なので、一緒に見に行ったカミさんは途中意識が飛んだらしいが、俺はトイレを我慢しながらの視聴だった。



丁度というか、偶然に、

以前より読んでみたかった原作の小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか(Do Androids Dream of Electric Sheep?)」を読み終えたばかり。


※これ、是非読むことをお勧めしておく。1968年、フィリップ・K・ディック作。






記憶も新しい中での鑑賞だったから、なお新鮮だったのだと思う。



もっとも原作では、ブレードランナーという言葉は出てこず、「バウンティハンター」(賞金稼ぎ)となっている。


また、レプリカントという言葉も無く、「アンドロイド」だ。


「アンドロイド」だと、ことさら機械仕掛けじみてしまうからかもしれない。


この映画の「レプリカント」は人造人間であり、機械仕掛けではないのだから。


それから、機械仕掛けの動物を飼うことがステータスとされているのだが、その件もない。


しかし、全体的な世界観は行間を読むように、非常によく表現されているところが嬉しい。


それは前作も、最新作も同じ。いやいや最新作はもっと綺麗な映像で描かれているのだと思う。






(以下、ネタバレ)----------------



レプリカントは、人造人間。


しかも戦争により環境破壊されてしまった地球から、火星に人類が移民する際に奴隷として帯同した背景がある。


そして氾濫を起こし、地球に逃げ帰ってきたレプリカントを始末するのがブレードランナー


しかし前作で、ハリソン・フォード扮するブレードランナー、リック・デッカードが、あろうことかレプリカントの女性と恋愛する。

そして最新作ではそのレプリカントが出産している事実が発覚(ちょっととってつけた感のストーリーではあるが)。


必死にもみ消そうとする警察、なんとかその事実をつかんで分析しビジネス拡大を狙う製造元の会社、レプリカントの解放運動戦線は御旗にすべく子孫を探す.....





おおよそのストーリはそんなところなんだけど、本当に重要なのはここじゃあないと思う。







原作を読むその部分を鮮明に感じる。


寿命は短いが完全なバイオテクノロジーによる人造人間、そして本来の人間、その違いは何?


レプリカントは改良を重ねていく上でどんどん人間に近くなっていく。


思考能力やパワーは人間を凌ぐ。


人間はその進化にくらべればはるかに遅いスピード、もしかしたら退化しているのかもしれない。


見た目にはもうわからない。


ところどころにある識別番号を確認すればわかる程度で、それも簡単なことではない。


そしてレプリカントは「人間」になりたい。





しかし、決定的な差がある。


感情、そして本物の記憶。


人造人間は本物の人間ほどに細やかな感情を有していないのだ。


最新作の主人公である、レプリカントブレードランナー「K」はその部分で悶々と考える。


自分は本物の記憶を有しているのか。


3-Dホノグラフィーとはいえ、「彼女」への愛情=感情は人間そのものではないのか。


狂おしいばかりの逡巡の末、自分はやはり他人の記憶を植えつけられた「レプリカント」だと知る。


そのときの絶望感は見事、鳥肌モノだと思う。





次回作もできるかもしれない。


レプリカントから生まれた子供の、その後の生き方や、レプリカント解放戦線と人間との戦いなどが描かれるかもしれない。


でもそのときは、

レプリカントという悲しい存在を、

世界観を保ったまま、

いままで以上の素晴らしい映像で、是非とも描いて欲しいもの。