特別お題「わたしの推し」
テニスをもう何年やっているだろう。
途中社会人であるが故のブランクもあったが、30年ぐらいは軽くやっている。
その割にいっこうに上手くならず、そうこうしているうちに加齢とともに体力と筋力が落ちてくる始末。
それでも、いつかは「華麗なプレー」を。
そう思い続けている。
そしてそれは、良いことなんだとも思っている。
「ロジャー・フェデラー」は稀代の、いや「もうすでに神」なテニスプレーヤー。
現役続行中の今年40歳。
スイス人だがルーツは中東にもあるようだ。
2000年ぐらいに初めてテレビにプロプレーヤーとしてみたとき、荒削りの感はあったが、こいつは大物になると直感した。
(俺が確信してもどうということはないのだが......)
グランドスラムの優勝が20回(歴代1位タイ)。
キャリア・グランドスラムは史上6人目。
「ホーム」のウィンブルドンは最多の優勝8回。
全米オープンは最多連覇の5連覇。
記録もすごいのだが、それ以上に「華麗なプレー」を見ているだけで嬉しい。
それが推しのポイント。
一切の無駄がない美しいフォーム。
グランドストロークは、スムーズかつシャープなスイングから出てくるフラットドライブ、地面を舐めるようなスライス。
スピードに加えてコースを突く精度の高いサーブ。
余計な動きが一切ない見惚れるボレー。(特にバックハンド!)
ボールの回転を多彩に操る、ドロップショットでは相手から逃げていく方向にかかっているサイドスピン。
パワー勝負の、ギャーギャー打つたびにうるさいプレーヤが男女共に最近は多いが、一線を画している。
どれをとっても素晴らしいのだが、「ダンスを踊っているかの如く軽やかなステップ」は特に注目したい。
バックハンド側に打たれたグランドストロークを、素早くフォアハンドに回り込むときの、細かく正確なステップが美しい。
そしてそこからの「伝家の宝刀」フォアハンドでのショート逆クロスによるエース。
打たれた相手は当然それを予測しているはず。
でも触ることさえできない。
まさに芸術。
どんなプレーをしても世界のトップレベル。
特にウィンブルドンのでのプレーは圧巻だった。
相手はなにもできない。
一方的に神がかったショットを繰り出すフェデラーになす術がないと言う感じ。
正確なサーブ、恐ろしく滑るスライス、やっと返球してもネットでボレーを待ち構えている。
スーパーショットを打っても、スーパーショットが返ってくる。
「なんで?どうして?そんなことができる?」テレビ画面に向かって何度叫んだことか。
俺だけではないよな、きっと。
世界中のファンがそう叫んでいたはずだ。
そんな彼も40歳。
「神」も加齢とともに心技体が失われていくだろう。
正直引退も近いはずだし、本人も引き際を考えているだろう。
それでも今年はまだプレーをしてくれるようだ。
これまでのように華麗なプレーをし続けることはできないかもしれない。
でもそれはそれ。
「フェデラー教」の信者はそれもまた受け入れる。
まだまだ期待している。