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この事件は、素人だが20年以上もテニスをやってきた人間として、何が何でも書き残しておきたいと思う。
2020年のテニス4大大会の一つである「USオープン」で、
優勝候補のノバク・ジョコビッチが、危険行為により4回戦でまさかの失格となった。
第1セットの途中、劣勢となった自分のプレーに腹が立ったのだろう、「チェッ!」ってばかりに後方に向かってボールを打った。
それがなんと、線審の中年女性の喉にヒット。
その場で倒れてしまう事態に発展。
大事には至らなかったが、10分弱の協議の結果、棄権な行為として大会ルールに則り失格となってしまった。
もちろん故意ではない。
そんなはずがない。
そんなことをする選手など一人もいない。
単にジョコビッチが不運なだけか?
すごいスピードではなく、ピシャって感じだった。
倒れる女性線審がちょっと大袈裟だったのか?
いややはり、当たりどころが悪かったようだ。
実際、この女性線審には非難が集まることとなった。
しかしジョコビッチは自らのSNSで彼女が悪くないこと、故意でないにしろ自分が悪いと声明を出しているために燃え上がったおかしな火は鎮火するだろうと思う。
それにしても、ビッグ4(ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレー)の一人であり、そろそろレジェンドの域に達しようかという選手なのに、なんとも愚かなことか。
彼は過去にも激昂してボールを観客席に打ち込んだことがあり、炎上したこともある。
もちろん「ラケットを叩き折る」なんてこともやっていて、あわや線審に当たりそうになったこともある。
つまりは「ヒヤリハット」が多くあった。
であるが故、今回のこの事件は「偶然な不幸」ではなく、「必然」であったと思う。
起こるべくして起こった事故。
女性の健康に問題がなかった(ようだ)ことがせめてもの救いと思うべきだ。
これが目に当たって失明でもしていたら、どんなに償っても償えない。
しかし、可哀想なのは、この女性線審。
彼女にとっても大きな大会の審判を務めるのだから、晴れ舞台ではなかったか。
自分が倒れてしまえばジョコビッチに何らかの影響が出ると分かっていながら、そうならざるを得なかった。
そして心ないファンから非難を受けることになった。
青天の霹靂、なのだ。
ジョコビッチはこれで失格どころか、4回線まで進んだ賞金(2600万円ぐらいらしい)とランキングポイントが失効となった。
でもそんなことはどうでもいい。
グランドスラムのタイトルを何度も獲得した、彼の輝かしいキャリアに、大きな大きな汚点がついた。
どんなに強くとも、素晴らしいプレーをしても、そして事前活動にお金を払っても、人間として尊敬できないのであれば全く意味をなさない。
それを改めて彼自身は知ったのではないかと思う。
プロの試合で頻繁にラケットを叩きつけて折る行為が見られる。
特に若い選手で、攻撃的なプレーをする選手に多いように思える。
一番最近で見たのは、デニス・シャポバロフかな。
なにか勘違いしていないか。
素人の俺も若い頃、試合中にラケットを叩き折ったことがある。
ラケットは何も悪くない、むしろラケットは超絶に進化をし続けている。
悪いのは自分の腕と性格なのだ。
そんな試合は勝てるわけもなく、負けて帰るときの惨めさったらない。
激昂してもなにも好転しない。
ラケットを叩き折っても何も始まらない。
逆に自分自身がさらに惨めになり、世界中に醜態を晒すだけのことを理解すべきだ。
テニスは紳士のスポーツなのだ。
今回の事件から、若くエネルギッシュな選手は肝に銘じたほうがいい。